コラム

Column

看護師経験を生かして、わたしらしくCRCとして働く

治験

2022.09.28

薬剤が保険収載され患者さんのもとに届くのは、開発される薬剤のなかでも一握り。薬剤の人体への有効性や安全性を確認する、新薬開発における最終段階が治験です。

トライアドジャパン 医薬開発本部 SMO事業部ではCRCが多数活躍しています。今回はその一人である出射果奈さんに、CRCの働き方ややりがいについて聞きました。

医薬開発本部 SMO事業部 推進課

出射果奈

「CRCは製薬会社と医療機関をつなぐ“かけ橋”」

Q. はじめに、SMOの役割やCRCの業務内容について教えてください。

出射:治験は製薬会社と治験実施施設(医療機関)が主体となって行いますが、実際に治験を進めるプロセスでは書類作成やスケジュール管理、患者さんのカルテスクリーニングなど、膨大な作業が伴います。そのため事務手続き等はSMO(Site Management Organization;治験施設支援機関)が代行するケースも多々あります。CRC(Clinical Research Coordinator;治験コーディネーター)は医療機関に赴き、担当医師や製薬会社との調整役となったり、治験に参加する患者さんのサポートを行います。いわば、治験を円滑に進めるための、医療機関と製薬会社との“かけ橋”のような存在ですね。

Q. CRCの具体的な業務の流れを教えてください。


出射:トライアドには都内の代々木と神奈川県の相模大野にオフィスがあり、CRCのデスクはそこにありますが、私は担当する施設(医療機関)に直接出勤することが多いです。常時2〜3箇所の医療機関を、他のCRCと協力しながら担当しています。具体的には、医療機関で治験に参加してくださる患者さんの対応や、医師やメディカルスタッフとコミュニケーションを取ります。施設での対応がない日は、オフィスで書類の準備やこれから始まる治験のスケジュール調整、症例選定、依頼者(製薬会社)とのやりとり等を行っています。

「看護師からCRCに転職〜患者さんを支える“薬”にかかわる仕事をしたい〜」

Q.CRCに転職したきっかけを教えてください。


出射:大学を卒業してからは看護師として3年間病院で勤務していました。病棟で患者さんの看護や治療サポートにやりがいを感じていましたが、自分自身の努力や頑張りが成果となり、数字となって明確に現れる仕事にチャレンジしたい気持ちが次第に膨らんできたのです。転職しても医療に関わる仕事を続けたかったのと、病棟で働く中で薬剤に対する興味が高まっていたこともあり、看護師経験を生かせるCRCへの転職を希望しました。

Q.SMO業界のなかでも、トライアドに転職した決め手は何でしたか?

出射:CRCに転職した最初の会社では、施設に出向く機会はほとんどありませんでした。トライアドに転職したのは、私より先にトライアドで勤務していた先輩の勧めがあったからです。患者さんを身近で支える働き方をしたいと思っていたので、トライアドでは医療機関を拠点として働ける点に魅力を感じました。また、精神科での勤務経験はありませんでしたが、私の中では、看護師として「患者さんに寄り添うサポート」をすることが理想としてあったので、精神科領域には興味がありました。病気が「治った・治っていない」と明確に線引きすることが難しい、「こころ」を扱う精神科は、対応に難しさもありますが、患者さんをしっかり「看る」という点においては、とてもやりがいのある領域だと感じていました。その点、トライアドはCNS(中枢神経系)領域での治験の実績が多数あるのも決め手でした。

Q.CRCとして働くなかで、どんな場面で看護師経験が生かされるのでしょうか?

出射:看護師資格を有していても、SMOのCRCは医療行為を行うことはできません。患者さんが少しでもリラックスして治験に参加できるような雰囲気作りを心がけていますが、そうした面で看護師経験が生かせていると思います。また、さまざまな職種の医療スタッフと連携するという点は看護師もCRCも共通しています。

「仲間を信頼し、互いに協力し合うのがトライアドのCRC」

Q. トライアドで実際に働いてみて、良い点は何ですか?


出射:入社前の希望通り、医療機関に出向いて、医師やメディカルスタッフ、患者さんと直接密なコミュニケーションを図れますし、念願だったCNS領域の治験に深く携わることができるようになり、とても良かったです。

Q. SMO事業部には26名(2022年6月現在)のCRCが在籍していますが、チームの雰囲気はどうですか?

出射:“患者さんのために”という共通した使命感を持って各々の仕事に取り組んでいる方ばかりだと感じます。CRC同士でも、患者さんの対応が重なって忙しい施設があれば、手が空いているメンバーがサポートに入るなど、困ったときは助け合えるように、こまめなコミュニケーションを皆が大切にしています。業務に対する個々の意識が高く、そんな仲間と協力し合って働けることはトライアドの良さかもしれません。先日、あるうつ病の治験で、短期間で多くの症例登録ができたことで、製薬会社より賞をいただくことができました。これも、同僚のCRCをはじめ、たくさんの方に協力いただけたおかげだと思っています。

「“関わっている薬が人々の助けになる”というやりがい」

Q. CRCの仕事のなかで、どういったところにやりがいを感じますか?

出射:在籍して1年半が経過し、現在はうつ病・統合失調症などCNS領域の治験業務を担当しています。治験は、長いもので数ヵ月から数年など長期にわたるものもあり、患者さんとも長くお付き合いすることがあります。定期的にお会いするなかで信頼関係が作られ、医師には話せない本音を聞かせてくれることもあります。治験を通して、患者さんの役に立てたと実感するときは、やはり嬉しくなりますね。

Q. CRCの業務では、大きな責任が求められたり難しい局面もあると思いますが……。

出射:はい。大きな責任感や使命感が求められますし、プレッシャーを感じることもありますが、それがやりがいに繋がっているとも思います。最近では新型コロナウイルス感染症に関する治験の大量症例登録にも携わりました。未知のウイルスということもあり、他の治験とは異なる繊細な対応が求められる場面も多く、日々アップデートされる情報をキャッチアップするのも苦労しました。しかし、“自分が治験に関わった薬剤が世に出ていき、全世界の人々の助けになるかもしれない”という使命感は何物にも代え難いものがあります。薬の大切さや新薬開発のプロジェクトの壮大さを実感すると同時に、CRCの仕事を誇らしく感じました。

Q. これからのキャリアビジョンについて

出射:昨年は未経験CRCのプリセプターとして、OJT教育も担当しました。新人CRCと担当施設に赴き、段階的に業務を経験してもらうなかで、後進の育成にも興味が湧いてきたところです。
今後はCRCを目指す後輩たちの教育にも携わっていきたいと思っています。

撮影協力:山岸クリニック相模大野

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